2016年3月9日水曜日

小金井市議会、環境建設委員会にて陳述いたしました。

2016年3月9日、小金井市議会、環境建設委員会にてはけ文共同代表の安田桂子が陳述いたしました。下記にその全文を掲載します。長いですがぜひお読みください。
環境建設委員会でのやり取りについてはまた追って。

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こんにちは。東町五丁目在住の安田桂子と申します。本日は陳述の機会を与えていただき、ありがとうございます。
私たち、はけの自然と文化をまもる会では、本日審議される陳情に添えて、昨日正午までに3,937筆の署名を提出しました。その後も続々と署名が届けられ、最終的には4,106筆にもなりました。

わずか20日間のあいだに、小金井市を中心に、全国から賛同の署名を多数いただきました。今日は、約4000人のみなさんの、はけをまもりたいという気持ちを代表して、ここでお話させていただきます。

昨年、12月18日に優先整備路線の事業化計画(案)が発表され、はけを分断する2路線が選定されたことを知ったとき、大きなショックを受けました。本当に信じられない気持ちと、この環境を失ってしまうかもしれないという失望感でいっぱいになりました。ゆたかな自然環境を次世代の子どもたちに残したいという気持ちを持った仲間で『はけの自然と文化をまもる会』を結成しました。

私たちがまもりたいと願い、「はけ」と親しみをもって呼んでいる国分寺崖線は、太古の昔、多摩川が武蔵野台地を浸食することにより誕生した延長30kmにも及ぶ斜面地です。悠久の年月をかけて創りだされた地層から、湧き出る水が野川を形成し、崖線の森は薪や炭木などの恵みを与えてくれました。江戸時代にはとり、さかんに農業が行なわれるようになり、100万人を超える人が暮らす江戸のまちに食料を供給していたといいます。はけがもたらす恵みは、流域の人びとの暮らしを豊かにするだけでなく、多様な地域文化も生み出しました。このように、はけは、私たち小金井市民だけでなく、東京都にとっても貴重な自然遺産なのです。

そのはけも、明治時代以降、急激な宅地開発により緑は減り、地形も壊されていきました。現在残っているはけ周辺の環境は、先人たちの様ざまな運動によってかろうじて守られ、私たちの世代へ受け継がれたものです。それが、この道路計画で壊されてしまいます。どんなに自然環境に配慮したとしても、地形が大きく損なわれ、湧水への悪影響の心配を払拭することは出来ません。
私たちは、この豊かな環境を、自分の子どもたちのために、ではなく、これから生まれてくる子どもたちへ、なるべく良いかたちで、受け渡していかなければなりません。それが、今を生きる私たちのやるべきことだと、私は思っています。

そもそも、今回優先整備路線とされた2路線は、約54年前、1962年に、旧都市計画法に基づいて決定されました。この時代には、地方自治体の意向が都市計画に反映される仕組みそのものがありませんでした。
都市計画法には、私たち住民の意見を反映させられるような仕組みは法的に保証されていないまま、今にいたっています。
先進的に見える東京都において、このような時代錯誤な上位下達のシステムがまかり通り、住民不在のまま進められているのが都市計画道路の実態です。
優先整備路線に選ばれた経緯の議事録は存在せず、示される理由はとても納得できるものではありません。

今現在の東京で、どのような社会資産を大切にすべきか?何を優先するべきか?それを今現在この東京に生きる者が考え、決定していく権利は、私たちには無いのでしょうか?
今を生きる私たちに、次世代に何を残すべきかについて検討するチャンスは無く、54年前に決まったことに従わなければならないのでしょうか?とても疑問に思っております。

次に、それぞれの路線について述べます。
まずは、3・4・11号線外についてです。

私は今現在、この路線のそばに住んでおります。先日6日に、東町五丁目の住民に呼びかけて、道路に関する意見交換を行ない、様ざまな声を聞くことが出来ました。特に市道573号、通称・二枚橋通りの沿線に住む住民の方からの、通過車両に関する悩みは、とても切実だと感じました。

沿道にお住まいの方によると、交通量が一時期減ったものの、中央線が高架になり、また増えたそうです。幹線道路が出来れば、長年の悩みから開放される、沿道にお住まいのみなさんがそう考えても不思議ではありません。しかし、よく考えてみてください。
「道路に賛成の人もいる」ということを市長や市議の口からよく聞きますが、なぜ賛成すると思いますか?
私は、3.4.11号線に関して言えば、市が、長年の通過車両問題を解消してこなかったからだと思います。
道路に賛成の方も、自然がこわされ、ご近所さんが立ち退きになり、道路によって町内がまっぷたつに分断されることは、決して望んではいません。

さらに現在、この地区にとって、とても気になる計画があります。それは、2020年に西武多摩川線の多磨駅東側に開業予定の商業施設のことです。市内東地区からは、二枚橋通りを通ればすぐに行ける場所に、巨大ショッピングモールが誕生します。開業すれば、通過車両の問題は、さらに深刻になるでしょう。都道ができるのを待っているひまはありません。市は責任を持って、この問題の解消に向けて、すみやかに対策をとるべきだと、強く要望します。

次に、3・4・1号線について申し上げます。

この道は、ケーヨーD2の手前で、はけを斜めに降りていき、ムジナ坂とはけの小路をつぶすことになります。今現在、武蔵野公園くじら山からはけを見る景色の中に、巨大なノリ面をもつ大きな建造物が建つことになります。このエリアは、宅地開発で失われつつあるはけの地形が昔ながらに残されている、奇跡ともいえる地域です。道路が出来れば、それが台無しになります。

また、心配なのはこの路線が南小、二中、前原小の学区を大きく分断し、ひまわり保育園、朋愛幼稚園、わかたけ保育園にそれぞれ隣接していることです。
「車歩道分離で安全な道路」と説明されますが、大きな道路が子どもたちの生活圏にあるのとないのとでは、どちらが安心でしょうか?大きな道路では大きな事故が起こります。
また、歩行が困難なお年寄りからは、青信号の間に向こう側へたどり着けないから、大きな道路の横断をためらう、との声を聞きました。そのような道路が地域住民のためになるとは思えません。

計画道路の必要性に必ず上げられる理由が、防災です。防災のために道路が必要、と言われるとたいていの人は黙ってしまいます。私もつい先日まではそうでした。
ご近所の方の中には、この地域は緊急車両が入れないので火災になったら被害が甚大である、そう思われている方もいらっしゃいます。
本当にそうなのでしょうか。私は、消防署へ電話して問い合わせてみました。名前を名乗り、緊急時の防災シュミレーションについて知りたい、と告げたところ、対応してくれた男性は開口一番、
「安田さん、町内会に入ってますか?まずは自助、それから共助。ふだんの備えとご近所さんとの助け合いが重要ですよ」と言われ、ハッとしました。
その後、直接お話を聞きに本町消防署へおじゃましました。

お話によると、消火活動のポイントは、現場に出来るだけ近づき、包囲して全方向から消化に当たることです。車両が現場の前まで行けるかどうかというのは道路の幅の問題ではなく、車両が角を曲がれないことが原因であることが多いそうです。交差点の角をカットする、スミキリをすれば解決することが多いですが、建築基準法等でスミキリの対応ができる場合もあれば、出来ない場合もある。幹線道路があれば速やかに現場「近く」までは行けるが、「すぐ前」に車両をつけられるかどうかは、その先の生活道路、市道の問題なのだ、ということが分かりました。

普通ポンプ車と小型ポンプ車は、車両の大きさにさほど差異はなく、大きく違うことは積載するホースの数だということも分かりました。狭い道には小型ポンプ車しか入れないと思っていましたが、どちらも4mの道路の幅があれば通行に問題はありません。

消防署の方と雑談を交えお話していくうちに、「火災は起きてからではなく予防が第一、第二はしっかりと初期消火出来るよう備えること」という結論に自然と至りました。

阪神大震災で救助された人のほとんどは、救急隊員ではなく市民に助けられたそうです。
いつ出来るか分からない道路に頼るよりも、ひとりひとりが防災意識を持ち、いざとなったら助け合える関係を築いていくことが大事なのです。町会で防災イベントを企画し、たくさんの方に参加を促すなど、道路を作らなくても出来る防災対策は、たくさんあります。
私も今では、道路が出来れば命が助かるとか、そんな単純なことではないと、自信を持って言えるようになりました。

次にまちづくりについて申し上げます。

12月、市長選を前に公開討論会が行なわれ、私も見に行きました。それぞれの候補者がまちづくりについて語り、それを聞いてワクワクしたことを覚えています。市長が代わり、新しいまちづくりが始まるんだ、という期待に胸を膨らませました。世代交代した今こそ、地方自治体から、市民中心のあたらしい、ワクワクするようなまちづくりを進めるべきです。時代錯誤な慣例に従うのではなく、小金井から新しいまちづくりを、東京都へ提案する。それが先取りの市制というものではありませんか?

小金井のいいところは、自然が豊かなところだと、誰もが口を揃えて言います。立場や意見が違えど、その認識は市民共通のものだと、私は思います。
この道路をつくれば、小金井市はお金がないだけでなく、まちづくりのセンスもないと認識されてしまうでしょう。恥ずかしいことだと思いませんか。

はけに道路を通すことは、日本橋の上に高速道路を通したことと同じ、負の遺産を後世に残すことになります。
地形は、一度壊してしまったら決して元には戻せないのです。今立ち止まり、小金井市としての意志をもって、全力でまちづくりに取り組んでください。東京都の方ではなく、小金井市民の方を向いて、市民のために、市制をおこなってください。

以上のような理由で、この2路線について、計画の見直し・変更を東京都に求めていただくことを強く要望して、陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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