2016年3月12日土曜日

はけ文主催勉強会の報告(1月31日)

はけ文が発足したのは2015年12月末のこと。あれから2ヶ月半、怒涛のごとくいろんなことがありました。その中ではけ文主催の勉強会はとても大切な行事だったのですが、あまりにいろいろ頑張りすぎてちゃんと報告を書けていなかったという失態・・・
そこではけ文の賛同人でライターの斉藤円華さんに改めてレポートいただきました。

勉強会の様子。会場は市民の方々で満員に。

ムダな道路が道路を呼ぶ? 
「もっと知りたい!都市計画べんきょう会」レポート

 1月31日に行われた「もっと知りたい!都市計画べんきょう会」に参加しました。
三鷹や小平といった近隣自治体でも、今回の小金井市の都道計画案と同様に道路問題を抱えています。住民の方がどう向き合っているのかを知りたいと思いました。

■「今ある道路を使い続ける方法も」

 最初は、三鷹で東京外環道問題にかかわり、配達の仕事で日常的に小金井近辺をクルマで通行している鈴木浩克さんのお話。
 「ムダな道路を作って(地域の道路事情を)混乱させてから、『解決するには新たに道路が必要ですよ』と言ってまた道路を作る。道路事業はその繰り返し」
 「都内の自動車の『旅行速度』(時間当たりの移動の速さ)が遅いのは、交通量が多いからではなく信号が多いから」
 「自然を壊さないと社会が発展しない、という考え方はおかしい」

具体的な資料を示しながら話す鈴木さん。
 鈴木さんは、海外の事例としてベルギー・ハッセルト市を紹介しました。それによると、当初あった環状道路計画の代わりに市内バスを充実させることで渋滞が解消。その費用は道路建設のための土地の買い上げよりも低く済み、後に乗車料金も無料に。市の税収も増えたそうです。
 「(交通の課題は)低予算の都市計画の積み重ねで解決できる」と鈴木さん。そこで私は「既存の道路は歩道が狭くガードレールもない。新たに道を作るべきだ、と言われますが・・・」と質問。
 鈴木さんの答えは次のようなものでした。
 「ガードレールはあるに越したことはないが、道幅が狭ければクルマは注意して減速する。道幅を広くすれば通行しやすくなるが、クルマの速度も上がる。道幅を確保すれば安全とは限らない。狭くて不便でも、注意して使い続けるという方法もある」






■計画撤回のチャンスあった?小平市

 続いて小平市からは「小平都市道路計画に住民の意思を反映させる会」ほかのメンバーが発言。小平中央公園のとなりの雑木林にかかる、やはり50年以上前に策定された都道計画の見直しをめぐり、住民らは市長に住民投票条例の制定を請求。2013年5月に投票が行われましたが、市議会から付けられた「投票率が50%を下回る場合は開票しない」との規定を満たすことができず(投票率35.17%)、開票に至りませんでした。
 こうした経験についてメンバーの一人はこう振り返りました。
 「都市計画法に守られた東京都の権限はとても強く、計画をくつがえすのは難しい。しかも、住民投票という影響力のある活動を始めたのが、環境アセスメントが終わって事業認可の直前(1210月)と遅かった。市議会や市当局も味方に付けることができなかった」
 それでも、過去には計画見直しに近づいた場面もあったそうです。その一つが1997年、当時の市長が都に示した都道整備方針への回答。
 そこでは「玉川上水を中心とした水と緑を、可能な限り良好な形で将来に引き継ぐため、(都道の)玉川上水の横断は地下(トンネル)での整備を検討して下さい」などと要望しています。これで計画は10年間「塩漬け状態」となりました。

右から神尾直志さん、尾川直子さん、水口和恵さん。


■都道計画は「まちづくり」と言えるか

 これらの発言のあと、小金井市民の参加者からは「(南北に走り、東八道路に抜ける)都道3・4・11号線ができると、都道計画案の北側の住民にも影響が出るのではないか。東八道路からの交通の流れが五日市街道の渋滞を引き起こす可能性がある。すると梶野町や緑町の生活道路が抜け道となり、住民への危険が増す恐れもがある。そういうことも考える必要がある」などと意見が出ました。
 以下は私の感想ですが、人口が増えてクルマも増えるから、あるいは便利になるから、防災に必要だから、などという理由で道路をつくることは、果たして「まちづくり」なのでしょうか。その理屈では、私たちの身の回りが道路だらけになってしまっても文句を言えないことになります。
 本来まちづくりとは、住民が「将来こういう町にしたい」と構想を描き、それにしたがって公共施設や道路などを整えるもののはずです。当然、そこには自然や景観をどう守るのかも含まれます。市ははけの自然について保全するのが方針だったはずです。
 この間の都や市の姿勢は「道路ネットワークの整備が必要」「周辺自治体との関係もある」などという説明が先行しているように見えます。

 それらは否定できない面もありますが、小金井として、あるいは住民として今後どんなまちを作りたいのかが、都道計画案の一番の根本にあるべきことではないでしょうか。
(斉藤円華・梶野町在住)

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